肝・胆・膵

「肝・胆・膵」に対する取り組み

「肝・胆・膵」とは、肝臓、胆道(肝臓から分泌された胆汁の通り道/胆管、胆嚢、十二指腸乳頭部)、膵臓のこと。それぞれの臓器は近接し、肝臓がん、胆道がん、膵臓がんなど、この領域にできるがんは手術の難易度が高く、予後が悪いといわれています。

がんをはじめ、適切な医薬品や治療法がない難治性の希少疾病を対象とした新薬の研究・開発に挑み続け、アンメットメディカルニーズに応えることは製薬会社としての使命だと考えています。

肝・胆・膵

肝硬変の原因

肝がん(肝細胞がん)が発生する原因として、多量飲酒や喫煙などの生活習慣、脂肪肝や糖尿病などの病気があげられますが、なかでも多いとされる原因は肝炎ウイルスの感染です。
A型、B型、C型、D型、E型の5種類の肝炎ウイルスのうち、B型肝炎ウイルスとC型肝炎ウイルスに感染した人の多くはキャリア(持続的に感染している状態)となり、肝細胞が壊されて慢性肝炎を起こし、肝機能が低下していきます。

なかでも注意したいのは、慢性肝炎から肝硬変、そして肝がんへと進行しやすいC型肝炎ウイルスです。現在、国内の患者数は20~30万人と推定され、そのうちの約10%は、感染してから20~30年後(平均)に肝硬変や肝がんを発症することがわかっています。

非代償性肝硬変の治療薬の開発

肝硬変とは、正常な肝細胞が壊れ、それを修復するために増えた線維組織が肝臓全体に広がった状態で、肝臓は硬くなり、肝機能が低下してしまいます。
それでも、もともと肝臓は再生能力が高いので、肝硬変の初期には明確に症状が現れません。

正常な細胞によって肝機能が保持されている段階は「代償性肝硬変」、肝臓の線維化が進んだ状態は「非代償性肝硬変」と呼ばれ、黄疸や腹水、静脈瘤、肝性脳症など、さまざまな症状が出現するだけでなく、生命の危険をともなう肝不全や肝がんにつながる可能性が高まります。

日本における肝硬変の半分以上は、C型肝炎ウイルス(HCV)の持続感染が原因です。
近年、抗ウイルス薬の進歩により、体内のHCVを除去できるようになったことから、C型肝炎は「治療可能な病気」といわれるようになりました。

ただし非代償性肝硬変の場合、初期のうちは抗ウイルス薬で進行を抑えることが可能ですが、肝臓の線維化が改善されるまでに5年以上を要するため、この5年間に引き起こす恐れのある合併症(がんなど)は、患者さんにとって大きなリスクとなります。
また、重度の非代償性肝硬変では肝臓に起こってしまった線維化を改善する効果的な治療薬がなく、対症療法が中心となり、残念ながら数年後に亡くなるケースが多いと言われています。

そこで、肝の線維化を抑えることが期待されている治療薬の開発を進めています。本剤は、HCVに起因する肝硬変だけでなく、原発性胆汁性胆管炎(PBC:指定難病)による肝硬変についても治療薬として期待がもたれ、1日も早く実用化を目指しています。

肝硬変の原因

胆道がん治療薬の開発

胆道がんは発生部位により、胆管がん、胆のうがん、乳頭部がんの3つに分類されます。

それぞれ進行度分類別に、外科的治療法、非外科的治療法(放射線療法、化学療法等)が選択されますが、胆道がんは進行がんの状態で発見されることが多く、治癒切除不能な胆道がんに対する化学療法を国際的な標準治療とするには十分なエビデンスが確立していません。

承認されている薬物は非常に限られているため、新たな治療法を研究・開発していくことが急務です。
私たちは、初期の臨床試験で見いだされたJPH-203の胆道がんに対する有効性について、さらなる臨床試験の中で検証を進めています。